第一章 ストーカーにご用心

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 なるほど、そういうてもあったか、と思った美菜は、ヌイグルミの先についている紐をグルングルンと鞄に巻き、堅く結びました。この行動に、ハスキーは目を回したみたいで、顔色が悪そうです。 「ゴメンね。悪気はないの」  美菜は必死で頭を下げました。 「そんなことより、時間、大丈夫ですか?」  美菜は腕時計の時間を思わず見てしまいました。大丈夫、電車の時間にはまだ、時間があるみたいです。 「そうだ、帰りにスーパーで買い物に行こう。ハスキーは、ビーフジャーキーでいいよね」  ハスキーはワンと大きな声で叫びました。 「じゃあ、急ごう」  美菜はそういって、部屋を出ていきました。  エレベーターホールに行くと、隣の部屋の男性に偶然会いました。 「今日は遅いんですね」  男性は美菜を見るなり言いました。 「え、いつもと同じだと思いますけど」  美菜はそういって、もう一度腕時計の時間をみました。  腕時計は、先程と同じ時間を指してました。どうやら、壊れてしまったみたいです。
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