17人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕は弱い。けど、喰われるだけじゃない」
その快感は傘間の認識を狂わせ、凶行に走らせた。
夜な夜な、来る日も来る日も、傘間は“弱い者いじめ”を行った。
自分よりも弱い女性を、子どもを、老人を。
刺して、刺して、刺して、刺して――。
その結果、通り魔として自らの存在が世間を恐怖に陥れていることを、傘間は知らない。
情報には疎い人間なのだ。
そして、現在。
今宵も傘間は快感を求めて、暗い夜道を歩く一人の少女の後をつけていた。
右手にすっかり使い慣れたナイフを握って。
いつ襲おうか――そんな事を考えていた時である。
最初のコメントを投稿しよう!