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  「僕は弱い。けど、喰われるだけじゃない」  その快感は傘間の認識を狂わせ、凶行に走らせた。  夜な夜な、来る日も来る日も、傘間は“弱い者いじめ”を行った。  自分よりも弱い女性を、子どもを、老人を。  刺して、刺して、刺して、刺して――。  その結果、通り魔として自らの存在が世間を恐怖に陥れていることを、傘間は知らない。  情報には疎い人間なのだ。  そして、現在。  今宵も傘間は快感を求めて、暗い夜道を歩く一人の少女の後をつけていた。  右手にすっかり使い慣れたナイフを握って。  いつ襲おうか――そんな事を考えていた時である。
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