sign:0

6/8
前へ
/93ページ
次へ
 街灯の下に居たのは少女ではなく、高校生くらいの少年だった。  夜の闇に溶けこんでしまいそうな黒髪。笑顔が似合いそうな、あどけなさの残る顔。  そして――赤い瞳。  その瞳に見つめられ、傘間は息を呑んだ。  血のように赤い瞳に魅せられ、神々しささえ感じていたからだ。  「傘間末吉さんですね?」  傘間は呆然としていて、少年の問いに頷くことしかできなかった。  失敗した。  傘間の頭には、その言葉だけが渦巻いていた。  「だ、誰なんだよ!お前は!」  自らの失敗に動揺している傘間は、興奮気味に叫ぶ。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加