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俺は口が堅く、絶対に他言などしない。
そして、どんな依頼も断らない。
断れないのだ……
この業界では信用が第一だ。
使えないとわかるとすぐ闇に葬られる。
だから受けた依頼をこなして、毎日を生きている。
非常にシビアな世界だ。
足を洗おうにも、他の仕事は知らない。
いや、出来ないと言っていいだろう。
俺は今の仕事に関わり過ぎた……
実際のところ、この仕事を辞めるつもりなど更々無いが……
こんな気が晴れる仕事、他に知らないからな。
それにしても……――今考えると天職だったのだろう。
待っていれば自然と依頼が舞い込んでくるという、楽な仕事。
しかも、俺には特別な才能があったらしい。
他の同業者には出来ない事も俺なら容易に出来たのだ。
だから、俺はこの世界に入ってすぐに一流と呼ばれることになったしな。
そのため、じゃんじゃん依頼が入ってくる。
おかげでこんなにも太ってしまった。
逆に他の奴らが羨ましいくらいだぜ。
そろそろ、ダイエットでもするかな。
おっと!長話が過ぎたようだ。
そろそろ依頼がくる時間だからな。
また、今度ゆっくり話そう……
なーに。俺はいつでもここに居るから。
お前も依頼があったら俺のところに来いよ?
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「山崎くん、これやっといてくれ」
「処分ですね?分かりました」
そう言って彼が進む方向には
黙々と任務をこなす一台のシュレッダーが今か今かと仕事を待っているのだった。
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