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「佑輔までため息かい?」
そう声をかけてきたのは篤だ
「だってため息もつきたくなるだろう」
本当に神経がすり減りそうだった
心底こんな世界に生まれた事を恨む
「そうかな」
篤は不思議そうな顔をして言った
なんだってこいつはこんなに余裕なんだ
篤だって特別頭がいい部類じゃないはずだ
「お前は余裕なのか?」
「余裕な訳じゃないよ、ただ焦る意味が分からないだけさ」
やっぱり篤の言っている意味は分からない
入学した時から一緒に居たが
俺はいつだって篤の考えている事が
読めたことはなかった
「意味が分からないな、テストの結果によっては卒業だぞ」
「そうだね、でもこれは運命だ」
「はあ」
「人間は運命に逆らえないんだ、なら足掻いたって無駄だよ」
「そう言って努力しないのは違うと思うがな」
「努力しないとは言ってないよ、俺だって勉強はしてるし徹夜もしてる。ただ焦ることをしないだけさ」
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