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「早く来なさいよ。置いていくわよ!」
自然な流れで叶谷がそう言ってきた。最初はストーカーとか言っていたくせに、いつから一緒に帰るようになったんだろう。
「脱ぼっちするぞぉぉお!」
叶谷がスキップしながら高らかに宣言する。
叶谷琴音――いったい、いつまでこの孤独な少女と一緒にいなければいけないのだろう。玲太はため息をこぼし、目にかかる髪をくしゃっと握った。
(あれ?)
それは違う。離れたかったらいつでも離れられる。なら、なんで離れないのだろう。離れたくないから?
「月島?なにぼーっとしてんの?」
「……いや、何でもないです」
玲太は叶谷を置いてさっさと歩いた。自分の中に矛盾した思いを見つけて、頭が混乱する。
“何で俺は、叶谷と一緒にいるのだろう”
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