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「まぁ、信用出来ないのは当然です。…あなたにとっては、あたしと喋ったのは初めてと思われてるようですので。」
「…ぇ…?」
どういうことだ…?
「フッ…混乱、しているようですね?…あたし、お兄さんと一度だけ、お話ししたことあります。そちらは、忘れているようですけどね…」
余裕気な表情から一瞬、川島花の表情が少しだけ、曇ったように見えた。
てことは、一度会ったことあるのか?…この、川島花と。
でも、俺の記憶では全く覚えがない。
俺はもう一度、川島花の顔をジーッと見つめた。
「…」
やっぱり、思い出せない。
すると川島花は、もう一度俺の隣に座り、足を組んだ。
「…条件とは、50万要求のことです。」
「…50万って…お前、担任に要求するつもりか?」
「今頃先生ぶるのは止めてください。…で、50万要求を条件として、妹さんの事件の関連者情報、どうですか?」
どうですかって…
「こんな美味しい話、どこにも無いですよ?」
「たくっ…おふざけはもうおしまいだ。…早く教室に戻れ」
こんな生徒が花音の事件の関連者なんて知ってるはずがない。
ただの金目あてにしか思えない。
俺は立ち上がり、缶コーヒーをゴミ箱に捨て、川島花の方に顔だけ向けた。
「…先生を脅すのは止めろ。…今度こんな真似したら、居残りにするからな」
そう言って、足を前に出して歩き出そうとしたその時…
「…楽しみにしてますよ、…三宅先生。」
川島花はそう言うと、立ち上がり、何処かに消えてしまった。
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