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病室に入るとそこには、白い布を頭にかけられた2人がいた。
俺は理解する事が出来なかった。2人がなぜ病院にいるのか、なぜ2人はこんなにも静かに眠っているのかも。
「爺ちゃん、お父さんとお母さん寝てるの?まだ明るいのにね」
幼かった俺はそう言うことしか出来なかった。
「いいか燈。お母さんとお父さんは天国に行ったんだ。もう2人には会えないけど、爺ちゃんと婆ちゃんと2人の分まで生きていこうな」
頭が真っ白になったのを覚えている。
「お母さんとお父さんにもう会えないの?イヤだ…おがあ…ざんど…おどおざんと…あぞびだいよ…ウゥ…ウッゥ…」
ここまでが俺の記憶にある親との別れだ。葬式の日俺は親の死因を聞いてしまった。
「霧矢さん殺されたんですって。なんでも会社をリストラされた男の人がお家に押しかけたんですって。それで丁度いた霧矢さんと奥さんが刺されたんですって。」
俺はそれを聞いて初めて、怒りを抱いた。いや、怒りと言うより殺意だ。まだ10歳にもなっていなかった俺は殺意を抱いてしまった。
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