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「急に呼び出したりしてすまないね」
校長先生が発した声は空気を震わせた。白く蓄えられた髭は整えられていて、高貴な印象を与えさせる。
「い、いえ、そんな…。こちらこそお呼び頂いて光栄ですよ」
見た目からは想像のつかない謝罪の言葉が最初に出てきて少し戸惑ったものの、目上の人に対する態度は崩すことなく答えた。正直言うと、光栄なわけがない。非常にめんどくさい。
すると、校長先生は髭を少し揺らしながらハッハッハッと老人らしい笑みを浮かべた。老人といっても体はガッチリしている。
その笑いに僕はどう反応すればよいのかわからず、困った表情を浮かべていると校長先生から話し出してくれた。
「リューホ君は随分と礼儀作法がなっているようだね。感心したよ。子供らしからぬ対応だ」
今は女である僕に君付けをするあたりから、校長先生が自分に自信を持っていると感じられた。
あの場を飲み込むほどの威圧感や余裕を持った態度には、やはり裏付けられた自信があるのだろう。
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