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side 一宮 優
「あの、えっと…どいてくれないかな?」
「「「「嫌です!優様!」」」」
おれは今、絶賛押し倒され中です。
「でもさ、今は昼休みだし、おれ、授業だけはちゃんと受けてるの知ってるよね?」
「「「「はい!なので、素早くお済ませください!」」」」
…いやさ、はっきり言って10人超えてんのに相手とか無理でしょ?
「えー…ヤると授業が眠たくなるじゃん?体力使うの面倒いんだよね…」
「「「「では、放課後ならよろしいのですか?」」」」
「んー…そうだなぁ…3人までなら許してあげる。」
すると、おれにのしかかって服をはだけさせようとしていた身長160cm代の見た目は可愛い子達が、おれからどいて言い争いを始める。
「僕が優様にしてもらうの!」
「いや、僕が!」
「僕に決まってるでしょ!?」
…うるさい…キンキンした声で怒鳴られるとすっごい耳が痛い。
「…じゃあ、おれは行くねー。」
最初のセリフからここまで約10分。中庭の、秋らしい紅葉の下で親衛隊の子達に押し倒されていたおれは、少し立ちくらみに襲われながらもその場から去る。もちろん。押し倒された時も、今も、笑顔は崩さない。これはおれのアイデンティティだから。
「…お、プリン味…いいねー。」
おれは、昼メシがわりの棒付きキャンディを口に含み、飲み物を買うため自販機へ。
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