第1章.忘れたか!俺たちに翼がついていることを!

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こいつというのは、先ほどから俺のとなりをカサカサ蠢いている黒い物体のことで。 ゴキさん。 それがこのゴキブリの呼び名である。 俺は丁度1週間程前からこのゴキさんと会話をするようになった、いやできるようになっていた。どうしてこんなことになったのかは分からないが、それでもこのゴキさんと話せるのは確かだ。それに、話せるのはゴキさんだけではない 大きな虫から小さな虫、いろんな虫と会話ができるようになっていた。できない虫もいるが、それでも話せるだけで異常だ。 もしかしたら動物とも?なんてドクタードリトル的な展開を求めたが、どうやら虫だけのようで、ウチで買っているラブ(犬)に話しかけてみても返事が返ってくる事はなかった。 大の虫嫌いな俺が何故こんな事になったのか 神様はきっと、俺に試練を与えてさぞ笑っているだろうな 正直、あと少しで精神崩壊するとこだった。 まぁそれは、一番最初に知り合ったゴキさんがまともな奴だったからギリギリで自我を保てたんだがな。 「つーか、どこまでついてくるんだよ」 『え?どこって…学校まで』 「いや来るなよ!もし俺が連れてきたってバレたらどうすんだよ!“巧みなゴキブリ使い”なんて異名は嫌だからな!?」 『大丈夫だって、見つかりやしねーよ。俺たちゃプロだぜ?逃げの』 隣のゴキさんは、そんな自我自尊をしてはカサカサと蠢く。 正直、これ以外の表現はない。こいつらのアクションと言ったら体中を蠢かせるだけ
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