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こいつ―
僕の太ももを枕がわりにして
寝息をたてているこいつのせいで
僕は不快な風を
浴び続けることを
強制されているのだ。
文月 壬子(ふづき みこ)。
それが
冷却シートを額に貼り付け、
眠っているこいつの名前だ。
冷却シートが味方側にあり
しかも夏だからと
朝早くに突然一人で始めた
水遊びを終えた後、髪や体を拭きもせず
今の状態に落ち着いたこいつにすれば
僕にとっては
不快でしかないこの風も
さぞかし心地の良い事だろう。
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