終わりと始まりのプロローグ

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 ザシャは柔らかくなった足首を何度も執拗に踏みつけ、その度に少年の絶叫とザシャの狂笑が響き渡った。 「――っと。危ねえ危ねえ。このままじゃ俺様まで火にまかれちまう」  ひとしきり笑い倒して満足したザシャは一際強く踏みつけた後、リントヴルムの翼を展開する。 「じゃあな、クソチビ。どーしてもクソガキちゃんを取り返したきゃ赤錆の塔まで来やがれ」  そして、浮遊。  かと思えばあっという間に急上昇。遥か彼方に飛び去ってていく。後に残るのは、吸い込まれそうな程青い空だけだった。  この日、魔女狩りにより1つの村が地図から消えた。  教皇領に届けられた報告書によると、魔女レーニ・エーレルトは赤錆の塔に投獄。魔女を匿った邪教徒の村の生き残りはいないとされている。
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