崩壊しかけた世界の中で…

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殺してから 少年が泣いている事に 気づいた。 なぜ泣いているの? 少女は聞いた。 でも答えは 返ってこなかった。 なぜ泣いているの? 少女は再び聞いた。 悲しいからだよ。 今度は 少年は小さく答えた。 なぜ、悲しいの? 少女は聞いた。 仲間が死んじゃったからだよ。 少年は答えた。 ・・ それは敵でしょう? 少女は聞いた。 僕にとっては、仲間だったんだ。 少年は答えた。 少女はわからなくなった。 それは…敵、カルマは…味方、 でも、カルは…敵の味方? 少女は呟いて わからなくなっていった。 そして、 少女の 幼い心は 脆くも 簡単に 壊れて 狂気が 目覚めた。 少女は少年に攻撃した。 少年はわからなかった。 なぜ攻撃されたのか。 そして気づいた。 少女が何かを 呟いている事に。 敵?味方?カルマは? 敵?味方?敵?…敵? 狂気に呑まれている。 少年は悟った。 少女は適応者が辿る 1つの末路である、 暴走を 引き起こしている事に。 少女は 暴走しながらも 泣いていた。 しかし、 少年には どうすることも できなかった。 少年も 適応者だったが 力がわからない。 力が使えない。 それでは 普通の人と 変わらない。 今の少年には力は無く、 逃げるしかなかった。 逃げるしかなかった。 逃げるしか、なかった。 少年は、 逃げて、 逃げて、 逃げて、 逃げた。
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