真実はいつも臨時

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 あなたもしかして築地の冷凍マグロ?  と、言われてもいいくらいおとなしく、無動作でいる。好きなようにさばいていいのよ。 「準備している間、漫画読んでてもいい?」 「サク早く。津田が飽きたって」  津田はカメラから手を離している。 「縛れない……キツく縛っても簡単に緩まりそうなんだよ」 「写真撮るだけなのに本気で縛るこたァねえだろ。早くしろ今すぐ終わらせて」 「早く早くって、急かさないでよ!早漏っ!!」 「受け攻め交代な」 「いひぃいい!頑張るので俺に縛らせてくださいぃ!!」  こんな攻めいないよ、普通。  ヘタレ攻めだってもっと上手くやるよ。BLでこんなやりとりがあったら、おちんちんさん萎えちゃう。  サクが満足げに縛り終えた時には、俺は眠気が高まっていて、度々出る欠伸を噛み殺していた。脳に酸素が足りてない。 「櫻井くん、終了ぅ?」 「もうちょっと待って!」 「お前の、もうちょっと待って、は日本の政治家みたいだな」 「信用無いって言いたいのね、名誉挽回してやるぜ」  昔懐かし、俺がしていたマウントポジション、今はサクがその体制になる。俺のネクタイを解く。続いてシャツに手をかける。俺、シャツにまで手をかけるとは聞いてない。マグロってる場合じゃねえ。
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