真実はいつも臨時

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  「サク」 「人のシャツのボタンって外しにくいですううう」 「サク、顔を上げてごらん」  何も考えずにヒョイと顔を上げるサク。とても近い距離にある顔、顔面、額に向けて頭突きをしてあげると 「ごうおふっ」 と、奇声を漏らしてくたばる。調子に乗るからこうなるんだ。 「あ。俺が見てない間に進展してるー!」 「え、見てないって津田ああああああああ!!」  津田が撮りたいって言うから頑張ってるのに漫画に集中しすぎて忘れられていた俺達!身体張っても立つ瀬がない!! 「ごめんね、これから全力で写真、撮るから」 「それもそれで悲しき事態……櫻井」  頭突きしてやったのに尚もシャツに手をかけてくる馬鹿の一つ覚えの名前を呼ぶ。 「はだけてた方がエロいと思うんです」 「友達にエロさ求めんな」 「2人ともそのままー、写真撮るよー」  津田に言われて、ストップモーション。漫画の一コマのように非現実的なポーズで相手を見る。  サクは先程のようににやけておらず、真面目な顔でいる。幻のような瞬間。普段は絶対にありえない現実に幻滅する。BLごっこの、なんとまあ気持ち悪いことか。 「もういいんじゃないかな」  津田が顔からカメラを外して、サクも俺から退く。やっと開放されたかと思いきや、手首を拘束しているネクタイがびくともしない。 「サク、ネクタイ」 「ん?サク様外してくださいって?」 「分かった自分でなんとかする。たとえ手首に跡が残ってヤンデレが犯人探しをすることになっても!」 「時田様、俺に外させてください!!」
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