真実はいつも臨時

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 ということは菜月もなにか問題を抱えているのね。俺と菜月が友達じゃなくなったら予定調和が崩れる。 「友達だよ。話は聞くけど、入ってからな」  菜月をサクの部屋に入れる。  サクが津田にBL漫画を布教していて、好みの一冊について語っている。 「菜月が来たぞー、布教は他所でやれ」 「ここが俺の部屋だと知っての物言いか」 「文句があるなら俺を倒して黙らせろ。菜月ごめんねえ、散らかってるけど、どうぞ」 「だから俺の……」  菜月は座ってきょろきょろと部屋の中を見渡す。 「本が沢山あるな!サクって読書家だったのか」 「これ、読む?」 「どれどれ」  津田は先程布教されていた漫画を菜月に渡そうとする。だ、だめ!菜月に対する有害指定図書っ!菜月の手に渡る前に奪う。 「自分が興味ないからって他人に勧めるな」 「俺は駄目でも菜月はハマるかなーって」 「櫻井勇太は腐男子が増えるのを切望しています」 「すんな。菜月は今のままでいいんだよ。あと二年、どうあがいてもノーマルのままで卒業させるんだい」  津田とサクがつまらない、と、ブーイング。面白さ重視で菜月を腐らせてたまるかよ。 「みんなと卒業できないかも」  菜月が目線を泳がせて言った。
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