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「また、今度は誰か来たよ。男の子だ」
通り過ぎました。
「またまた、誰か来たよ。お婆ちゃんだ」
通り過ぎました。
「今度こそ、僕に気づいて。中年の男だ」
おしっこかけられました。
誰も僕に気づいてくれません。
あ、蟻さんこんにちは。
蟻さん達は僕の上をずらずらと大名行列です。
急に僕は持ち上げられました。僕はその人を見てみます。男の子です。
男の子は僕を川原に連れて行きました。川原にはもう一人男の子がいました。
「はやく、日本一の水切りの腕を見せてくれよー」
「おっけ、おっけ」
男の子は僕を川に向かって投げました。
シュッ、シュッ、シュッ。
流石日本一。僕は水の上を凄い勢いで跳ねます。そして川原の対岸に到着し他の石に紛れました。
その後数日が経ちましたがいつまで経っても僕のことを見つけてくれないので、寂しくなり元に戻りました。
家に帰り、猫の耳毛と触れ合おうと思いましたが家には耳毛の他に別の猫が入り込んでいて耳毛はその猫とじゃれあっていました。
耳毛と触れ合えなかったことで、心にどこか寂しさを感じながらも僕は新しい猫を歓迎し、指毛と名付けました。
耳毛と指毛は仲良くじゃれあっていたので今日は僕一人で寝ることにした。
「寂しくなんかないからね」
そう言った僕の視界は涙で滲んでいた。
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