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11、桜に変身だよー。本当だよー。
ピカー、ゴロゴロゴロ。
「にゃーん」
むぎゅ。
「ふあ?」
く、苦しい息ができない。
何だ、耳毛が雷に驚いて僕の顔に乗っかって来たのか。可愛い奴。
まだ、深夜の3時だ。一度起きたら、なかなか寝付けないから。今日はもう寝るのはやめた。
僕は、テレビを付けた。
テレビでは大自然の特集をやっていて、地球の神秘を感じ取ることが出来た。
「自然すげえ、感動した。そして自然に賛同した。よし、今日は木になろう」
僕は深夜家を抜け出し街を散策した。辺りは静まり返っていて、風がピューっと音を立てて、葉っぱや小さなごみを巻き上げる。
僕は商店街に行った。ずいぶんと廃れているような気がした。
僕は商店街の通路の真ん中で、桜の木になった。なぜって? だって皆、桜好きだろ?
そして夜が明けた。
てってけ、てってけ。人が歩いて来た。
「あ、桜咲いてる。綺麗ーー。満開ー」
その、まだ若い女の人はさっさとどっかへ行ったかと思ったら、すぐに仲間を連れてきた。
「まじか、桜咲いている。時期がずれているよ。フウェゥツフェ」
不思議な笑いがその空間に広がる。
ぞくぞくと人がやって来た。
10人、100人、1000人。人が商店街に溢れてきたよ。活性化されてきたよ。
テレビの取材陣も来たよ。皆、僕に登り始めたよ。
「すげー、この桜。1000人乗っても大丈夫」
1000人乗っても平気なぐらい巨大な桜になったのはいいが、流石に目立ちすぎかな?
僕は桜の花びら全て散らした。そして、再び桜の花びらを満開につけ、また全て散らし、それを何度も繰り返した。商店街には凄まじい量の桜の花びらが、風によって乱舞した。
僕は皆が驚いたり、喜んだりしている隙に変身を解き、家へ帰った。
今日は多くの人と触れ合えたし、商店街も活性化できた。
僕は耳毛、指毛と一緒に寝ることにした。
「にゃーん」「にゃーん」
夜中に耳毛と指毛はちょめちょめしていたが、僕は幸せだった。
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