目覚める世界 ~目覚めぬ心~

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「はい、じゃあ化学の授業を始めるわねー。」 成宮先生のゆったりとした声が聴こえる。 「初めての授業だし、中学のおさらいテストからはじめますよー。」 えー!と言う非難の声の中テストは配られる。 『水の電気分解』 『酸化鉄の還元』 『リトマス試験紙とBTB水溶液』 基本的な事が多い。 「制限時間は30分、早く回答し終わった人は提出してしばらく自習ね。」 そう言って成宮先生は、鞄から本を出すとだらけた様子で読み始める。 やる気がないのか余裕があるのか…。 「先生!」 数分して手をあげたは神楽だ。 「はい?何か質問?」 「えっと、最後の問題『化学的に幽霊の説明をせよ。』ってありますけど?」 「はいはいそれね、自由記述問題ですよ。自分の考えを書いてねー。物理学やら生物学からの観点でも認めまーす。」 こんな面倒な問題の時間稼ぎだろ!その場にいた生徒は皆思ったはずだ。 「じゃあ、これで提出します。」 神楽は早々、席を立つ。 「あら早い、早いからここで採点するね。」 … 「はい、最後の問題だけ再提出ね。」 「は?なんでですか?」 「前提として幽霊を否定しているのでいない。とか、つまらないからですよ。自由かつ柔軟にアレして下さいねー。他の皆さんもよろしくー。」 やっぱり、時間稼ぎじゃん!と言う空気が教室を包む。 「こう言うのが一番、どう言う考え方をしてきたか分かるから時間稼ぎとか思わないでねー。あとそれ配点が50点なんで取り敢えずやってみるのも吉よー。」 その空気を察したのか成宮先生は一言付け加えると、また本を読み始めた。 空気がさらに重くなったように感じた。
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