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「テイト!俺の呪文に合わせろ!」
テイトはカグラの声に小さく頷く。
「そうはさせんぞ!」
手負いの魔王ギリアムは巨大な手のひらが二人に襲いかかる。
「私を忘れたでよね!」
リーザが放った弓が魔王の手を貫く。
「リーザ!」
「今よ!」
テイトとカグラは小さく合図しあうと飛び上がった。
「グラディアル・ボルケイノ!」
「斬真一閃(ざんしんいっせん)!」
テイトの剣は青い焔を纏い、ギリアムの頭頂から地面までの最短距離をまるで狐の尻尾のように貫く。
「異世界から召喚されし勇者よ…私が崩壊しても人の悪意の有る限りそこにあるのを忘れるな…。」
最後の言葉を言い終わるとギリアムの体は真ん中からズルっとずれそのまま業火に焼かれ朽ちていく。
「倒したんだよな。」
「ああ!俺たちやったんだ!」
3人は抱き合ってお互いの健闘を称えた。
「あとは、捕まった皆を助けるだけだ!」
「あっ。」
リーザが声をあげる。
テイトの身体が青い光に包まれている。
「勇者の役目は終わり、元の世界に帰る時がきたみたいだな。」
テイトは少し寂しそうに言った。
「テイト…。」
「ダグに、ラーガに、アリメリアにそれとそれと…。」
「大丈夫だ、皆に伝えとくさ。」「次に来るときは音楽と笑顔に溢れた世界を案内してあげる。」
テイトはそれを聞いて笑顔になると光になって元の世界へと消えて行った。
「いってらっしゃい、松田テイト…。」
テイトの姿のあった場所に刻みつけるように、リーザは小さく呟いた。
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