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僕は自分の名前がキライだ。
「皆さん入学おめでとうございます。私は皆さんの担任になる、成宮奈津美です一年間一緒に頑張りましょう。」
僕は自分の名前がキライだ。
「出席をとりますね、最初だから名前に間違いがあったら言ってくださいね。」僕は自分の名前がキライだ。
「相川梨乃さーん。」
「はい。」
僕は自分の名前がキライだ。
「カツグラ 武司さーん。」
「先生、神楽ですカグラ」
「あ、ごめんなさいね。」
僕は自分の名前がキライだ。
「松田テイトさーん。」
僕は自分の名前がキライだ。
「松田さん?どうしたの?」
「あ、すいません。」
「ボーっとしてないの。まあ私もボーっとしてるって言われるけど。」
ああ、少し感情に浸りすぎた。
新天地で出席確認や自己紹介と言うのはどうにも嫌だ。
周囲を確認する。
僕の方を変な目で見ている奴がいないか、いるならそいつと友達になれる気がしない。
それもこれも、僕の名前が悪い。
「渡辺理沙さーん。」
「はい。」
そうこうしている内に出席確認は終盤にさしかかっているようだ。
「はい、これで全員ね。皆さん一年間仲良くやりましょう。それじゃあ暫し談笑の時間で。」
一斉に椅子が動く音が聞こえる。
僕の方に近づいてくるのは神楽武司と渡辺理沙の二人。
「よう、同じクラスだったか。」
「まあ、大概ね。腐れ縁も良い所だわ。」
二人は幼稚園の頃からの幼馴染だ
「テイト、次は多分自己紹介の段だぜ。」
「今回はどう乗り切るのか見物ね。」
本当に困ったものだよ。だけどさ
「お前らだって、状況は変らないだろ?」
「俺は名字だけだし。」
「私は原型留めてないし。」
「だよなぁ…。」
もう僕は頭を抱えるしかない。
「あのー。」
急に知らない声が聞こえる。
振り向くと後ろの席に座っていた気の弱そうな男がモジモジしながら立っている。
たしか、出席確認の時松谷って呼ばれてたっけ。
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