旅の再開 ~集う英雄~

4/9
前へ
/19ページ
次へ
「…なんでしょう。」 「松田テイトさんですよね?」 「…はい。」 「えーっと、本名ですか?」 あー、いきなりこの質問きたかー。 教室を見渡す、後ろの方にニヤニヤしながら様子を見ているグループがある。 ああ、そういう事か。腹をたてては気の毒だな、一度深呼吸を落ち着いて答える。 「ええ、本名ですよ。『グラディアル』の主人公とは関係ないですけど。」 うん、完璧な答えだ。 「関係ないとか嘘ついたら逆効果だよ。」 っと横槍を入れて来たのは神楽だった。 「そうね、本当のことを話した方が後々楽だと思うけど。」 理沙まで言い出す。 これじゃもう引けないじゃないか! 「あー、僕の父親が『グラディアル』の作者でね。僕の事をモデルにした上、名前まで使われたんだよ。」 「じゃあ、公式に松田テイトって事ですか?」 少し興奮気味に松谷君は訊く。公式って…。 「公式っていってもなぁ、僕自身が非公認なんだけど。どうなるんだろうね神楽?」 「カグラ!」 松谷君は驚いたように少し叫ぶ。 この面倒くさい状況、他人事と思ってませんか?神楽くん、理沙さんや。 「畜っ…!ああ、非公式って事でいいんじゃないかな。俺も認めてねぇし。なあリーザ!」 その調子ですぞ、カグラくん。 「リーザ言うな。気付いての通り神楽も私も『グラディアル』の登場人物のモデル。あ、勘違いしないでね私の名前は理沙だから。」 「ほうほう、そうなんですか!」 松谷くんも乗って来ている。 「なまじ『グラディアル』が売れたもんだからこうして自己紹介どうするか相談してる訳さ。まあ、テイトだけだけどな。こいつ小学、中学とあだ名『勇者』だぜ?笑っちまうよな!」 「高校でもそのあだ名になっちまうからやめてくれ。でもまあ、こんな感じさ。」 「ほうほう、羨ましいなぁ。」 その反応は間違ってるぞ、松谷君。 「えーっと、友達になりませんか?」 えっこの流れで?そりゃあ友達が増える事にこしたことはないけどさ…。 「まあ、いいんじゃない?」 「そうだな、うん友達は多い方がいい。」 「あ、ああそうだな。」 こりゃ高校でも『勇者』呼ばわりだな。と僕はがっくり肩を落とした。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加