1人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「あれ・・・今のって誘拐?」
「だよね・・・」
目の前でクラスメイトがスーツの男に連れ去られたのを目撃した知美と木葉。
驚きで脳が混乱しているようだった。
そしてもう一人、凛音の親友である彼女もパニックに陥っていた。
「え?なんで?琥太郎さんって亡くなったんじゃなかったの?あれ、え?」
「あ、通報!早く通報しないと凛音が!!この、ケータイ!!」
「うん!えっと・・・警察って何だっけ?119?」
「違うよ!110番!」
死んだはずだと思っていた人間が目の前で親友を連れ去ったことに驚きが隠せない那波。そして、その横でパニック状態に陥りながらも通報しようとする知美と木葉。
その様子を見ていた絵琉は肺一杯に空気を取り込んでめいいっぱい叫んだ。
「皆さん一度落ち着いてください!!」
耳を貫くような絵琉の声は、三人を驚愕させた。
「松井さん、櫻井さん、今のは誘拐じゃないんです。それから那波さん、あれは琥太郎さんじゃなくて弟の柳太郎さんです。」
「「「・・・りゅうたろう?」」」
三人は声をそろえて言った。
「はい・・・。あれはお姉ちゃんの知り合いのご家族の方です。」
「じゃあ誘拐じゃないの?」
「はい。多分お迎と言っていたのでおそらくお姉ちゃんは家にいるかと・・・」
「そっか・・・良かった・・・」
ようやく安堵の顔を見せる三人。
「それでも心配なら・・・行きますか?お姉ちゃんの家。」
「「「行くっ!!!」」」
そうして四人は凛音の家へ向かうこととなった。
最初のコメントを投稿しよう!