ハント3

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実は彼、その巨体と筋力が並外れており、故郷では恐れられていた。 ある時、村へ侵入した灰色ウルフを、素手で殴り殺したことがある。 近くに武器もなく、村人が危険と判断し、とっさに行ったことだ。 彼も若かった。 良かれと思って行ったことだ。 だが、その膂力は恐怖を生んだようだ。 鬼の子と呼ばれ、村から追われることとなる。 それから流れのハンターとなり、今に至る。 彼自身が経験したことでもある。 人は時には理不尽な行動をとるものなのだ。 現在のダリルは、巨種討伐への功績もあって、恐れられてはいない。 だが、何時人が翻意するか分からない。 不用意に情報を与えるのは危険なのである。 だが、ダリルは自分が特殊だと気付いていない。 いや、気付いているが認めない。 そんな感じだろうか。 これは危ない。 そう、ハゲルは感じるのであった。 無論、自分の過去を語る気はない。 しかし、どうしても理解できないのであれば、語るつもりのハゲルであった。 ダリルも冷静に、この度の行動を振り返って考えている。 自分の動きが他人が行えるかをだ。 チャグ・ディ・マッサの件は良い。 あれは相性の問題だ。 晶石の能力で説明はつくだろう。 しかし、ゴルンゴとプフユム。 この討伐はどうだろう? ゴルンゴはのトドメはウォルヴが行った。 だが、ゴルンゴが怯えて逃げたのを追ったのは不味かったのではないか… 巨獣が怯えて逃げる存在。 それが今の自分。 深く考えてなかったが… これは不味いかもしれぬ、そう思い始めている。
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