物語の始まり

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すっと、ほとんど音も立てずに城崎君は私の隣に座った。 宮本先生は変な所にウルサイ人で、机と机の間を空けることを許さない。 だから私と彼との距離は30cmくらいしかない。 ほんのりと甘い香りも漂ってきた。 さっきとは間逆で、心臓がバクバクしている ただ彼が隣にいるだけなのに… ただそれだけなのに… 連絡をしている先生の声なんかまるで頭に入ってこない。 _______ガタガタ みんなが立つ音でハッと気がついた。 一歩遅れて立って礼をする。 今から私がしなければならないことはただ一つ。 授業が始まるまで、この席から逃げることだ。
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