秋の木枯らし。

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「けほっ、けほっ、おはよ…ございます…っ/」 ある日の楽屋。 いつも元気に入ってくる君は居なくて。 小さな顔には大きすぎるマスクをした君がやって来た。 「ゆーり、風邪?」 「ん、なんか喉痛くて…っ/」 「こっち、おいで?」 「ん…っ」 「んー、ちょっと、熱いかも。ほら、座って?」 「僕…、だぃ、じょーぶだよ…?」 「説得力ありませんっ。つらいでしょ?撮影まで寝ときな?」 「ん、ぅ…」 俺の服の袖を きゅっと弱々しく握る君。 「ゆーり?」 「手ぇ、握ってて…っ//」 そんなことしなくても、俺はどこにも行かないのに。 「りょぉすけっ、早く…っ/」 「ん、ほら。早く寝な?」 「ずっと、傍にいてね…っ?1人に、しないでねっ?」 「当たり前。」 「ふふっ、りょぉ、すけ…、だぁい、好き…っ/」 「おやすみ、ゆーり。」 ちゅっ、と額にキスを落とす。 早く治りますようにのおまじない。 早く笑えるようにの、 おまじない。 END
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