「やっと、生きてる」

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そう、まるで、立ち泳ぎしながら生きてきたって気分。 島影ひとつ見えない、暗く、荒れた海の真ん中で、 ひとり、何度も波をかぶって、塩辛い海水を飲んで。 海は地獄の底みたいに真っ黒で、容赦がなくて。 それでも生きていくには、立ち泳ぎをしながらもがいてなきゃいけなくて。 船も浮き輪も太陽もない。
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