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高橋さんはその返事を見て少し前に歩いて立ち止まった。
何かを待っているようだった。10年間待っていたその答えを聞かせてほしいと
そう聞こえるような。
「俺、、、ずっと。ずっと由実の事が好きだった。
あの時ここで由実と別れてから、高校の時のモヤモヤした感じ。
全部由実が好きだって感情だったんだ。
成人式の時由実に会ったら伝えようと思ってた。
そのあと白浜で由実の叔母さんに会ったときも会いに行きたかった。
でも会いに行ったらダメだと思った!
いつか、俺たちにもう一度出会いがあった時に伝えようって。
あの俺が約束を破った日。
あの日由実の誕生日だったんだよな。俺何にも知らなかった。
俺は本当にバカだった!」
由実の肩は震えていた。泣いてるんだ。
由実は僕の方に振り返りゆっくり僕に近づくと僕の胸に頭を当てた。
「やっと、やっと由実って呼んでくれたね龍。
ずっと待ってたんだよ??私もずっと龍の事好きだった。
中学の時も、高校の時も、龍と会えなかったあの日も、そしてそれからもずっと。
でも・・・遅いよ・・・。なんで今なの??
どうして今なのりゅう・・!」
僕は由実を抱きしめていた。由実もそれに反応するかのように僕の背中に手を回した。
「龍がフランスから帰ってきたら私に一番にカクテル作る約束、絶対忘れないでね。
今度は破ったらイヤだよ。」
彼女は僕から離れると泣き顔に笑顔を重ねてそういった。
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