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「ほんとに、大丈夫か?」
夕焼けに照らされる空港。
「大丈夫!ちょっと勉強して、ささっと帰るだけだし!」
僕、『明ヶ崎静也(みょうがさきしずや)』は、この度日本を離れアメリカ留学することになった彼女、『麻川華蓮(あさかわかれん)』の見送りのため、ここに来ていた。
「ささっと、って……」
一年も、と続けようとしたが、よくよく考えれば一年なんてあっという間だ。
「………いや、そうだな。」
「やっぱり……いなくなると悲しい?」
「だろうね。」
間髪入れず答えた。
「速っ。」
「あはは。」
ふと時計に目を落とす。そろそろ手続きしないと間に合わなくなるであろう時間になった。
「あ、そろそろ行かなきゃ……」
華蓮の顔が少し暗くなる。
「静也………」
華蓮の悲しげな顔。
僕は笑顔を作る。
「あっちに着いたら、メールくれよな?」
「うん……静也。」
華蓮の顔が上がり、彼女の視線は僕に向けられた。
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