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玄関先のポストに届いた封筒の中の書類を手に取り、その中心に「採用」の文字があることを確認した
「う、受かってる……」
俺こと、棚橋愛斗は今日、脱ニートを果たした
「ホント?今まで頑張ったかいがあったねぇ!」
妹の理沙の協力もあり、小さな町工場だが、俺は正社員に採用されたのだ
「あぁ、やった……やったぞー!!」
思わず体の奥から込み上げてくる喜びに乗せられ叫んでしまう
だが、それほど嬉しい、叫んでしまうほどに
「よーし、兄ちゃん、初任給で理沙が前に欲しがってたネックレス買ってやるよ」
「へぇ~、いいのかなぁそんな大口叩いちゃって?」
「ふん、叩くのは自由さ」
「なにそれぇ、もし買ってくれなかったら八つ裂きだからね」
……目がマジだ、本気と書いてマジの目だ
余計なことを言わなければよかった……
「じょ、冗談だよ、散々世話になったんだ、母さんにも、父さんにも、理沙にも、な」
「兄貴……」
良かった、いい雰囲気にまとまりつつある、もうひと踏ん張りか
「だからきっと、働いて、金稼いで、ちゃんと恩返しするんだ!必ず」
「ふふっ、期待せずに待ってるね」
「このやろっ!」
「キャー!犯されるぅー!」
と言って、理沙は笑いながら家へと入っていった
まぁ……この場はしのげたか……
「ふぅ……頑張るぞ!俺……」
八つ裂きの恐怖に怯えつつも俺は理沙を追いかけるようにして家に入ることにした
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