番外編2

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「紗織、バイバイっ」 紗織に挨拶しようと 振り返ったくるみが、笑う。 なんにも知らないから…… ごく自然に。 「うん…。バイバイ」 紗織も ごく自然に、手を振る。 俺は ふたりの様子を……… 優しい彼氏を装い、 見つめている。 だって、 もうどうしていいかわからない。 くるみとは別れたくない。 でも、 あの時は…… くるみが嫌で嫌で、我慢できなかった。 「ね、涼介」 「ん?」 紗織と別れ 校門を出た時、くるみは言った。 「紗織、なんか元気なかったね」 「え……そう?」 正直、ギクリとした。 でも くるみは、何も知らない。 知るはずがない。 嫌だ。知られたくない。 知られたら……終わりだ。 「うーん。気のせいかな」 「…………」 「ま、いいや。それよりさ……」 くるみは 頭がよく、賢い女だった。 バレるのも時間の問題じゃないかと 実際わかっていた。
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