番外編1

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「…………言わないの?」 離れろなんて言うのに 自分からは、離れて行かない。 どういうつもり? 「…………」 「? まぁ、いーや」 あたしのことなんて きっと、大嫌いなはずなのに。 清々しいくらい最低で。 「俺、戻るわ」 「あっ……」 あたしとの関係も キスをしなくなっただけで 大して、変化なかった。 キスをしなくなった。 涼介くんが、優しくなくなった。 だけど、 側にいるの。 どうして? あたしは、 涼介くんの後ろ姿を見ながら…思った。 ねぇ、涼介くん。 なんで? どうして……あたしを、突き放さないの? “おまえなんか大嫌いだ!” って、言わないの? わからないよ。 涼介くんが、好きなだけだった。 見返りなんて求めない。 涼介くんは、くるみの彼氏だったから。 そのはずだった。 「…………。だから何?」 「えっ?」 突然、 バスケットボールを抱えた涼介くんが あたしに振り返った。
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