番外編1

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あたしは、 涼介くんの……何? 「今、呼び止めたじゃん」 「…………」 言葉が思いつかない。 ふたりの間に しばらく沈黙が続く。 もう、 これ以上嫌われてもへいきなのに。 どうせ めちゃくちゃ嫌われてる。 それなのに まだ、言葉を選んだり探す自分が…… 恋する女っぽくて、変な気分だった。 「………なんなんだよっ」 「わっ!」 苛立った涼介くんが あたしに向かってボールを投げる。 うまく受け止めた。 「……急に、危ないじゃん…」 「さすが女バス! ナイスキャッチでした」 「…。なにそれ」 涼介くんは あたしに向かって、 “ボール寄越せ”と言うように 手を上げて、笑う。 「………。涼介くんはさ」 「うん」 あたしの恋は、 始まった時から横恋慕だった。 好きだと気づいた時は とっくに、あなたは人のものだった。 あたしの大切な幼なじみ… くるみの、彼氏。 最初から、叶うはずがなかった。
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