番外編1

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叶うはずがない。 叶えたいなんて 思っちゃいけないんだ。 それなのに……… くるみが、涼介くんを困らすから。 悩ませるから……… なんて、ちがうよね。 うん。全然ちがう。 これは……ただの言い訳だ。 あたしがしたことを 正当化するための言葉に過ぎない。 あたしは、ほしかった。 単純に 涼介くんを、奪いたかった。 望まない。 一番じゃなくてもいいなんて……嘘。 あたしは、涼介くんが好き。 「涼介くん、好きだよ」 「…………」 「涼介くんがあたしを嫌いでも、ね」 涼介くんは 驚いた素振りもなく、 意地悪そうな顔をする。 「聞き飽きた」 「………」 「それよりボール返してくんない」 当然、 “好きだ”と伝えても 笑顔が返ってくることもない。 「………うん」 「はやくー」 あたしは 浮気相手以上には、なれないから。 “彼女の幼なじみ” “都合がよかった” それだけだから。 いいの。 わかってるから。
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