番外編1

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「知ってる? 最近、くるみ変な男と仲いいの。あのチャラい奴」 「…………新山くん」 「そうそう」 抱きしめたい。 大丈夫だよって、言いたい。 それなのにできないのは、 彼がそれを望まないから。 あたしは元浮気相手。 彼が望まないことなんて…… いまさら、できない。 あたしは 涼介くんが好きだから。 いつでも 涼介くんの側にいて ずっと、一番の味方だよ。 「……付き合うのかな」 「………。わかんない…」 そんな顔しないで。 あたしは…… くるみの代わりには、なれない。 なれるはずがない。 あたしは 涼介くんを、笑わす方法を知らない。 「…………泣かないで」 「は? 泣いてないよ」 「でも……泣いてるように見えたから」 くるみなら すぐ、涼介くんを笑顔にできるんだろう。 どうしてあの子は この人に、そこまで愛されたのだろう。 いいな、くるみは。 あたしだって 涼介くんを、笑顔にしたいのに。 「泣かないよ」 「………」 「けど、………」 笑顔にも、 寂しい顔にも。 どんな顔にでも くるみなら、簡単にしてしまう。
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