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「ねぇ、涼介」
「んー」
「これとこれ、どっちがいいと思う?」
俺だって
後悔しまくってるよ。
バカなことしたな、って。
だけど……
後悔しても
黒歴史は消えないわけで。
事実を抹消できるわけでもなくて。
「どっちもいいと思うよ」
「えー! それじゃ選べないよ」
「両方買えばいいじゃん。俺出すよ」
だから
俺は、いつもくるみに対して
“優しい彼氏”で、いるようにした。
イラッとしても
顔に出さないようにした。
怒ったりなんて、絶対しなかった。
「やったぁ! 涼介ありがと♪」
「いいよ、これくらい」
食べたかったクレープを
両方手にしたくるみは、にっこり笑う。
可愛い。
可愛いから、好き。
くるみの素直になれないところも
わかってる。理解してる。
理解できた、つもりだった。
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