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「……な…ん……だと……?」
朝の会が始まるホームルーム前の馬鹿騒がしい教室で、悪友と相撲をしていた俺の下に、一人の女子クラスメイトが駆け込んできた。
よほど全力で走ってきたのだろう。激しく咳込みながら彼女は肩で息をしている。
そして彼女は、死にそうなくらい青白い顔をしながらこう言ったんだ。
夕凪が轢かれたらしい。さっき救急車で運ばれて行ったが、かなり重体みたいだった。
お前の方が死にそうじゃねぇかとゲラゲラ笑いながらほざく悪友を吹っ飛ばし、俺は無意識に走り出していた。
「学校の近くの病院らしいよ!」
後ろでさっきのクラスメイトが俺に向かってそう叫ぶ。
俺は走りながら振り返り、手を振ることで彼女に返事をした。
夕凪が轢かれた? かなりの重体だ?
そんなの嘘に決まってる。病気すらしないあの馬鹿が、轢かれたくらいで怪我なんかするもんか。
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