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「僕の知らないアスカってどういうことですか……」
「精密な検査で解ったことなの。先日の使徒の攻撃でアスカの心は回復不可能なくらい複雑に掻き回されたわ……まあ、意識を取り戻したのは本当に奇跡としかいいようがないわね。でも、回復は完全ではなかった、アスカの精神年齢が低くなってるのよ、そしてもう一つ…アスカの心の傷、トラウマと言ってもいいわ………おそらくアスカはシンジ君…あなたを母親に置き換えてるのよ……だから、あなたに愛されようと必死になってる……弐号機のパイロットよりもあなたを優先するほどに」
「…………」
言葉を失う。
…なんとなくそうじゃないのかと思った。
自分を見てるようで別の誰かを見ている……そんな矛盾した感覚を何度かしたからだ。
「……それでもいいんです」
「……」
「僕が知ってるアスカは……強情で負けず嫌いで……でも、本当は寂しくてそれを隠すようにいつも強がってるんだって……」
「でも彼女は――」
「アスカはアスカなんです……!僕が知らないアスカでも……アスカなんだ」
リツコの言葉を遮り、シンジは叫ぶように言う。
「僕の自己満足でもいいんです……僕はもう――」
脳裏にトウジの姿がよぎる。
「友達を…大切な誰かを失いたくない」
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