29人が本棚に入れています
本棚に追加
「お、さすがに今日は静かだね。先生、感心だよ」
それが入室した緒方先生の第一声だった。
当然のように教壇へと進んでいく彼女の後を、それよりも少しだけ遅く着いていく。
その間に、俺は軽く教室を見渡してみる。
「………………」
まず俺は、その多種多様な人物たちに驚くことになった。
やけに大人びた生徒から、子供じみた生徒まで。
この辺りにはここしか学校がなく、学生のほとんどが通っているというのは、事前に聞いている。
しかし、実際に目の当たりにしてみると、本当に同じ生徒なのかと疑いたくなるような。
机や椅子すらも統一されていないような、様々な人たちが、そこにはいたのだ。
そして、確かに先ほど緒方先生がもらした言葉の通り、幾つかの空席が。
……どういうことなんだろうか。
「こほん」
緒方先生は、わざとらしく咳をおいてから語り始める。
そんなことをしなくても、しずかな教室なのに。
「えー、私の後ろにいる彼が、転校生くんだ。今から自己紹介をしてもらうため、各自黙ってしっかりと聞くように……。ほら、どうぞ」
「あ、はい」
緒方先生にチョークを渡され、その場を託された。
最初のコメントを投稿しよう!