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「ほら、縁。呼んどるで」
「……んん」
肩を動かしながら寝息をたてていた縁という女性を、その後ろの人が揺らす。
それにより、多少目が覚めたようで。
「ん……プロでぅサー、後8分……」
一瞬だけ頭をあげてから、それだけ言って再び眠りについてしまった。
今の顔に、見覚えがあったような気がするが。
しかし、プロでぅサー……。あ、もしかしてプロデューサーのことかな。
寝ぼけた状態でその単語が出てくるってことは、彼女は芸能人か何かなんだろうか。
「ふむ。縁くんは今日もお休みか……。ならば仕方ないな、薫くん、アレを持ってきてくれたまえ」
「了解や! まかせといて!」
言われるがまま、先ほど縁さんを揺すり起こそうとしていた薫と呼ばれる少女は教室から出ていった。
見た感じは俺よりひとつ上といったところだろうか。
口元にあったほくろと、短髪の大きなあほ毛が特徴的だった。
「彼女は入江 薫(イリエカオリ)くんといってな。縁くんの同級生であり、去年越してきた関西人だよ」
「関西人……ですか」
向こうの人たちは、本当にあんな話し方なんだな。
にしても、アレって何だろう……。
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