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「オガちゃーん、持ってきたでー!」
「よし。ご苦労だったな」
「オガちゃん……?」
オガちゃんって何だ。
とにかく、戻ってきた薫さんが持ってきたのは、時代を感じさせるCDプレイヤーとマイクだった。
緒方先生はマイクを受けとると、縁さんの手に握らせる。
そして、教壇の上にCDプレイヤーを置いて。
「あの、何をするんですか……?」
辛抱たまらず、緒方先生に尋ねる。
緒方先生は、当然のように教壇の引き出しから何かのCDを出すと、それをセットしながら答えた。
「まあ、見ていたまえ」
「腰抜かすなやー、転校生クン」
「はあ」
そう言われてしまえば、俺は眺めることしか出来ない。
迷いなくスタートのボタンを押す緒方先生。
そして、流れ始めるメロディ。
聞いたことがあるような、ないような……。
「え?」
何気なく、縁という女生徒の方を向いた俺は、間抜けな声をあげてしまった。
さっきまで机に突っ伏していた人物が急に笑顔で立ち上がっていたら、誰だって少しは驚くだろう。
『相川みどり……歌います!!』
物凄く、綺麗な声だった。
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