ーー 赤ずきんちゃん.

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「結香先輩。どうします?始めから戦闘ですか?話合いしますか?」 「できるだけ銃は使わない方向で」 「はい!」 うーん、返事が元気だなぁ。 そんな事を思っていると。 「結香先輩あれです」 カナタの指差す方には小川のすぐ脇に建つ、厳ついビル。 「うわ、分かりやすい!」 隠れる気も隠す気も全く無いと思われる。 「とりあえず乗り込みましょうか」 「そうだね」 鉄製の重たそうな扉はカナタが手を掛けただけで、いとも簡単に開いた。 入り口からの光で照らし出された中には、無数の狼が。 それも待ち構えているように此方を睨んでいる。 「うわぁ……。ヤバいっぽいねー」 「そうですね」 「そうですね」とか言いつつ、一人で仁王立ちの狼の群へ近付いて行く。 あぁ、ヤダヤダ。 危ないよー。 まぁ私も付いて行くんだけど。 「どなたですかァ?わてらの敷地内に入って来た輩はァ!?」 「すいません。ブックキーパーの者です」 頭らしき狼に向かい営業の声で答えるカナタ。 「ブックキーパー?あぁ、あの軍ですかァ。お前みたいな餓鬼がかァ?ギャハハハハ!」 醜いとしか言いようの無い笑い声を上げ、一歩前へ出た。 「で?何の用ですか?」 「最近、森の住民から被害が出たそうで」 「ほう。わてらがやったと?」 「はい」 何の躊躇いも無く言いきる。 それも笑顔だから相手側にとっては頭にくるだろう。 .
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