ーー シンデレラ.

3/15
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
守る? 何を? 誰を? …………私を? 「えぇ?」 淳也が私を守ってやるって……。 みるみる顔が赤らむのが分かる。 いやいや。 部下として、同期として、同じチームとしてだ。 変な意味じゃないぞ、決して。 勘違いするな、私。 けれど心のどこかで淡い期待感を持ってしまう。 だって奴は、ずっと前からの私の好きな人。 この世界に来る前から。 ずっとずっと……。 ーーーーー 家の近くにある公園。 幼稚園児の時から良く行っていた。 そこで4歳の頃出会ったんだ。 淳也と。 「君、だぁれ?」 転んで泣いている私に奴は語りかけた。 「転んだの?痛い?」 「ひっぐ、えっぐ……いたぁいよぉ!」 別に転んだからと言って血は出ていなかったので、さほど痛かった訳ではない。 けれど私は泣きじゃくった。 「うぇぇっ!ままぁ、ぱぱぁ!」 そんな私に淳也は。 「だいじょーぶだよ」 クシャクシャと頭を撫でた。 この時から奴はなんら変わっていない。 私の頭を乱すように撫でる所とか、フッと目を細めて笑う所とか。 「だいじょーぶだよ、僕がいるから」 「ひっく、ぅ……うん」 そして奴は私の膝を優しく包んで。 「いたーいのいたーいの、飛んでけぇ!」 そんな事で痛みが無くなる訳ではないのに、幼い私には魔法のように効いてしまった。 「わぁ、すごーい。痛いの無くなったよ!」 「えへへ、良かったぁ」 その日から私達は良く会って遊ぶようになっていった。 .
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!