1人が本棚に入れています
本棚に追加
「結香先輩、結香先輩!淳也先輩が呼んでますよ」
呼び出しか。
バタバタと走って来る、軍服を着た10歳の可愛い男の子。
「また?」
「はい。急ぎの用事らしいですよ」
身振り手振りで説明するのはこの子の癖。
大き過ぎるジェスチャーがたまにイラッとくる。
彼の名前はカナタ。
おかしな事に苗字が無いらしい。
ここの奴らは大体そうなのだが。
「分かった。淳也の部屋だよね?」
「はい、そうです」
「ん、ありがとう。仕事戻って良いよ」
「はい!」
またバタバタと走って帰って行く。
一日中あんななのだろうか。
疲れるだろうな。
「はぁ……」
気は引けるが仕方ない。
淳也の部屋へ行くか。
「ヤダなぁ……」
私は奴が嫌いだ。
同期のはずなのに淳也の方が偉い地位に就いている。
同じように仕事をして来たのに。
何で私は偉くなれない。
不公平だ。
.
最初のコメントを投稿しよう!