ーー 絵本の国.

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「結香先輩、結香先輩!淳也先輩が呼んでますよ」 呼び出しか。 バタバタと走って来る、軍服を着た10歳の可愛い男の子。 「また?」 「はい。急ぎの用事らしいですよ」 身振り手振りで説明するのはこの子の癖。 大き過ぎるジェスチャーがたまにイラッとくる。 彼の名前はカナタ。 おかしな事に苗字が無いらしい。 ここの奴らは大体そうなのだが。 「分かった。淳也の部屋だよね?」 「はい、そうです」 「ん、ありがとう。仕事戻って良いよ」 「はい!」 またバタバタと走って帰って行く。 一日中あんななのだろうか。 疲れるだろうな。 「はぁ……」 気は引けるが仕方ない。 淳也の部屋へ行くか。 「ヤダなぁ……」 私は奴が嫌いだ。 同期のはずなのに淳也の方が偉い地位に就いている。 同じように仕事をして来たのに。 何で私は偉くなれない。 不公平だ。 .
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