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ブツブツ言いながらもちゃんと向かうのだが。
光沢のある茶色いご立派な扉。
これが奴の部屋の入り口。
私の安っぽい木の扉と大違いだ。
「失礼しまーすっ」
苛つくのでノックをせずに入室。
ご立派な扉なだけにズシリと重みがある。
明るい部屋の奥の方にこれまたご立派なデスクと花瓶。
いくつかの剣と鎧が。
それに囲まれて椅子へ深く腰掛けている男が一人。
「ノックしろって何回言ったら分かんだよ」
部類的にはイケメンな感じの黒髪の若者。
カナタが着ていた軍服の上に、更に黒いマントを羽織っている。
靴は厚底だが。
「呼び出しくらったから来てあげたんじゃん」
「はぁ……常識だろうがよ」
「常識なんて知らないもんねー」
呆れたように頬杖をつき、溜め息を一つ。
溜め息つきたいのはこっちだ。
「まぁ良い。ちょっと来い」
ちょいちょいと手招きされて近寄って行く。
デスクへ来た所で奴が立ち上がり、顔を近付けた。
「ジッとしてろ……」
「ふへ!?」
ちょ、ちょちょちょ!?
何をしようと……。
ーーパチンッ!
「いだっ!?」
「テメェふざけんなよ」
僅かに期待して待っていたが、されたのはデコピン。
それも奴のは強烈に痛い。
「何するのさっ!!」
「テメェこそ何したぁ!」
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