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その頃……
ポケットを膨らませた孝二は、馴染みのおでん屋に居って焼酎を傾けておりました。
「はい孝二、おかわりはこれでもうお終いじゃょ。
どう……仕事は見つかったね?」
孝二はグッと呷ってから、
「ふ~~っ、仕事かぁんなのある訳ねぇがよ。中卒でよ、車の免許も無くてよ、ふ~~っ。
おまけん!
還暦の老いぼれによ、こんな不景気にぃ何処の誰が面倒みっかよ!
ふ~~っ。
俺が社長やったらよぉ、そげな老いぼれ絶ぇ対ぃっ雇わんけ!」
ハァハックション!
と、言うのでした。
そうして、幼馴染みの女将の順子は、そんな孝二にこう言い放しました。
「孝二っ、そげなこつ言ぅたって、和ちゃんの働きだけじゃぁ。綾ちゃんだってこれからなんよ!」
「だかい何ちぃ!お前が俺ばぁ雇ってくるっちぃかぁ順子ぉっ!」
ハァハックション!
「孝二っ、仕事ば選んじょる場合やなかっ!和ちゃんば、可哀相ちぃ思わんとねっ。
また何で和ちゃんも二十七も歳の離れた孝二と、一緒になったとやろかねぇ」
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