ピンクのぶ~ちゃん

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´  和子の言う通り何の資格も、いまどき車の免許すら持たない孝二にとって、六十からの仕事探しは無いに等しいのでした。 「ほら見て綾、あはは……頭だけでも繋がったとょ」 「なんか、不気味なぶ~ちゃんじゃょ母ちゃん。 けんど、何でそげんにピンクのぶ~ちゃんをば大事にすっと?」  和子はそれを、そぉっとテーブルに移すと、 「綾、このぶ~ちゃんはねぇ母ちゃんの大事な宝ものなんょ。 そぅあれは……母ちゃんが十七ん時やった。 病気で臥せっちょるお父さんと、双子の弟達とで暮らしとったがょ母ちゃん達は。 母ちゃんとこはとても貧乏でねぇ。進学どこじゃなかったとょ。 それで母ちゃんは中学を卒業すっと近くの会社で働いたとょ」 と、  話し始めるのでした。 ´
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