42人が本棚に入れています
本棚に追加
「行こう」
「はい!」
二人は手を取り合い、走り出した。
しかし
「どこへ行くんですか?」
暗い路地裏に、女性の冷たい声が響いた。
「「!!」」
二人は慌てて、声がした方に振り返った。
「その女性は、島原の舞妓ですよね?勝手に連れ出してもらっては困ります」
闇の中から、黒い着物を来た女性が現れた。
着物だけではなく、髪も目も真っ黒な彼女はまさに"闇"そのものだった。
「あ……。紅……さま」
女性は目を大きく見開き、絶望の表情をしていた。
「紅?……!!あの、島原を取り締まっている……」
男性も思い当たる情報があるらしく、顔を真っ青にした。
「島原の人間でない者も知っているとは……。私も有名になりましたね」
静かな笑みを浮かべながら、紅は一歩一歩、二人に近付いていく。
最初のコメントを投稿しよう!