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「さて、もう一度聞きます。あなたは角屋の舞妓の、鈴さんですね。……どこへ行こうとしていたんですか?」
「あ……」
紅から発せられる殺気にあてられた女性は恐怖のあまり、言葉を発する事が出来なかった。
「まさか、島原の掟を忘れた訳では無いですよね?」
笑みを絶やさぬまま、紅はおもむろに懐に手を入れた。
「裏切り者には……"死"を」
そして、苦無を構えた。
「か……堪忍しておくれやす!うちはこの人と生きていきたいんや!!」
「……」
涙を流しながら男性の腕にしがみつく女性を、紅は冷たい目で見ていた。
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